遺産分割問題解決の流れ
さて、相続が発生して、遺産分割を行う場合、大きく分けると2つの流れがあります。
-
遺言がある場合
被相続人の遺言がある場合は、原則として、遺言に沿って相続を行います。
しかし、遺言に不備があったり、本人が書いたものでなかったりした場合などには、遺言の効力が認められません。
また、例えば、兄弟姉妹が4人いるのに「長男に全てを相続させる」というような内容の遺言の場合には、他の弟姉妹は遺留分を侵害されることになりますので、長男に対して、遺留分侵害額請求を行うことができます。
遺言がある場合で、その形式に疑いがあったり、内容に納得がいかなかったりする場合には、専門家である弁護士にご相談ください。
仮に遺言によって、遺留分が侵害されている場合でも、遺留分侵害額請求をするには期限があり、期限を過ぎると請求が認められなくなりますのでご注意ください。
遺留分と遺留分侵害額請求でお困りの方へ-
遺言がない場合
被相続人の遺言がない場合には、法律によって定められた相続人(法定相続人)全員による、遺産分割協議書を作成することになります。
遺産分割協議書がなければ、被相続人の財産を相続する手続きを行うことができません。
- ①相続調査
- ②遺産分割協議
- ③遺産分割調停
- ④審判
- ⑤訴訟
-
相続調査
遺産分割協議に当っては、相続人(法定相続人)と相続財産の確定が必要です。被相続人・相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)の収集や、相続財産の目録を作成します。
遺産分割協議の終了後に、新たな相続人が見つかった場合などは、遺産分割協議が無効になってしまいますので、注意が必要です。
そのような可能性がある場合は、あらかじめ、専門家である弁護士に相続調査を頼んだほうが良いでしょう。
-
遺産分割協議
相続調査によって、相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議を行います。これは、相続人による話し合いです。話し合いがまとまった場合は、その内容にもとづいて、遺産分割協議書を作成し、これによって相続を行います。
円満に遺産分割を終えることを望まれる方へ-
遺産分割調停
相続人間の話し合いで遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることになります。
調停とは、簡単に言うと、一人の裁判官と二人の調停委員(調停委員会)を仲介者とした交渉です。調停になった場合は、双方に弁護士がつく場合が多いと言えます。
遺産分割の調停と審判-
審判
調停が纏まらなかった(不調)場合、審判の手続きに移行します。審判では、裁判官が、双方の主張を聞いたうえで、審判を下します。審判に不服がある場合は、2週間以内に抗告する必要があります。
-
訴訟
遺産分割そのものではありませんが、遺産分割の前提となる法定相続人の範囲や、相続財産の範囲、遺言の有効性などに関して争いがある場合で、話し合いを重ねても平行線を辿ってしまうときは、訴訟を提起する必要があります。訴訟の場合は、双方に代理人の弁護士がつくことが一般的です。
遺産分割を行う場合、特に揉めている場合や、揉める可能性がある場合は、上記の解決までの全体像を見越した上で、最適と思われる解決方法を考える必要があります。
話し合いで解決するほうが良いのか、訴訟を提起したほうが良いのか、相談者の方の状況によって、ケースバイケースです。
当然、弁護士にご相談いただく場合には、これらの全体像を踏まえて、最適と思われる解決方法をアドバイスいたします。