遺産である土地や建物は誰が日常的な管理するのですか?管理に要した費用は他の相続人に請求できますか?
Q.遺産である土地や建物は誰が日常的な管理するのですか?管理に要した費用は他の相続人に請求できますか?
A. 複数名の相続人がいて、遺言がなく、まだ遺産分割協議も調っていない状況の場合について回答いたします。
各相続人は、遺産全体について、その相続分に応じて使用することができる一方、各人が修繕、固定資産税やマンション管理費の支払い等を単独で行うこともできます。したがって、日常的な管理は相続人誰もが行えます。このような行為のことを法律上保存行為といいます。
一方、建物を数か月間無償で第三者に貸す使用貸借契約の締結のような保存行為とはいえない程度の行為のことを管理行為といいます。管理行為は持分(相続分)の価格の過半数で決することとなります。
また、建物の売却などの処分に当たる変更行為は、相続人全員の同意が必要です。
相続財産の管理に要した費用は相続財産の中から支払うことができます。しかし、相続財産に現金等が乏しく相続財産の中から支払うことができない場合は、各相続人が各自の相続分に応じて負担することとなります。管理費用を支払った相続人は、自らの相続分を超える部分について他の相続人に請求できます。