遺産分割協議をするために不動産を評価したいのですが、評価額はどのような方法で決めるのですか?
Q. 遺産分割協議をするために不動産を評価したいのですが、評価額はどのような方法で決めるのですか?
不動産の評価には様々な方法があります。そして、どの方法にしなければならないとのルールはありません。相続人全員が合意すれば遺産分割のための評価としては問題ありません。
しかし、それではどうしたら良いか分からないでしょうから、一般的な評価方法をいくつか紹介いたします。
①土地に土地について
◎路線価又は固定資産税評価額をもって不動産価格とする方法
◎時価に近い価格とされている公示価格をもって不動産価格とする方法
◎路線価は公示価格の8掛け、固定資産税評価額は公示価格の7掛けとされていることから、路線価を0.8で割る又は固定資産税評価額を0.7で割って不動産価格を求める方法
◎不動産業者に査定をお願いし、その査定額を不動産価格とする方法
これらの方法は簡易で費用もほとんどかかりません。
上記の方法による額を参考に評価額の合意をする場合、上記の方法による額どおりに合意しなければならない訳ではなく、実情に応じて適宜増減額して構いません。
②建物について
◎固定資産評価額や不動産業者の査定額による方法
これらの方法による額で相続人全員の評価額に関する合意が得られれば良いのですが、得られなければ、不動産鑑定士による鑑定が必要となります。
不動産鑑定士による鑑定は、裁判所の手続きと離れて行う場合を「私的鑑定」、裁判所の手続きとして行う場合を「裁判上の鑑定」と言ったりします。
不動産鑑定士による鑑定の費用は、100万円以上となる場合も珍しくありません。これは私的鑑定、裁判上の鑑定どちらも同じです。
この費用は、私的鑑定は依頼した方、裁判上の鑑定は裁判所で決まる負担割合(相続分による場合が多いです。)で負担することになります。
私的鑑定は、不動産鑑定士という鑑定の専門家が行った鑑定でありとても権威はありますが、他の相続人がその鑑定額に拘束されることはありません(別途合意が必要だということです。)。一方裁判上の鑑定は、その鑑定額をもとに裁判所が判断したり、その鑑定額に合意することを全相続人が約束したうえで行ったりしますので、事実上拘束力があると考えて差し支えありません。
合意も、鑑定もできない特殊な場合は、不動産の評価を前提とした解決ができないことになります。